相続する財産のなかでも、不動産には管理や税金(固定資産税など)の支払いがあるため、大変になるケースも少なくありません。
そこで検討したいのが、相続放棄です。
ですが、そもそも相続放棄とは何か、知っていますか。
今回は不動産の相続放棄についてメリットや注意点も併せてご説明します。
不動産における相続放棄とは何かをチェック
不動産における相続放棄とは、財産のすべてを放棄することです。
ここでいう財産は、プラスの財産と借金などの負債の両方を指します。
相続放棄は、相続の発生がわかってから3カ月以内に、亡くなった方が最後に住んでいた地域の家庭裁判所に申請すれば可能です。
手続きが不安な場合は、弁護士などの専門家に依頼して代行してもらえます(費用は5万円程度が相場)。
また、手続きは、単独でも複数でもできます。
申述書や亡くなった方の住民票、申請者の戸籍謄本を提出しますが、複数人で申請する場合は共通の書類をいくつも用意する必要はありません。
かかる費用は、収入印紙代の800円と切手代です。
申請してから1週間程度で手続きが完了します。
不動産の相続放棄にはメリットや注意点もある!
続いて、不動産の相続放棄におけるメリットや注意点をみていきましょう。
メリット
●負債の責任を負わずにすむ
たとえば多額の借金が残っている場合など、相続すれば肩代わりする必要がありますが、放棄すればその責任を負わずにすみます。
●手間や費用がかからない
不動産の管理や維持のための費用負担などから解放されます。
●相続争いを回避できる
財産の分配などでもめる必要がありません。
特に遺産が大きく争いが起きそうなときには、相続人から外れることにより、トラブルを回避できるでしょう。
注意点
●資産も引き継げない
負債だけでなく、プラスの資産も引き継げない点には注意しましょう。
●申請に期限がある
3カ月以内に申請しなければ、相続したとみなされます。
●撤回は不可能
申請すると撤回が不可能なため、慎重に判断しましょう。
●ほかの相続人とトラブルになる可能性
借金が多い場合など、ほかの相続人への負担が大きくなるため、事前に相談しておくことが大切です。
●全員で放棄すると代わりの管理者を探す必要がある
全員で放棄した場合、相続財産管理人を選定して代理人を立てる必要があります。
●生命保険の非課税の恩恵を受けられない
生命保険の全額に対して税金がかかります。