身内が亡くなってしまい相続をすることになったけど、何から始めていいか分からない。
印鑑証明を用意しておくように言われたけど、どんな役割があるのか分からない。
そのような方々のために今回は、建物や土地など、不動産を相続することになったとき、どのような場合に印鑑証明書が必要なのかについてご説明します。
そもそも「印鑑証明書」とは?
「印鑑証明」とよく呼ばれたりしますが、正式には「印鑑登録証明書」という書類を指します。
住宅ローンの契約や不動産会社とのやりとりなど、重要な契約の結ぶ際には実印による押印と印鑑登録証明書の提出が求められます。
登録された印鑑が間違いなく本人の物であることを証明する書類で、印鑑登録証またはマイナンバーカードを用意し、役所やコンビニなどで発行できます。
コンビニでの発行はマイナンバーカードでのみ発行が可能です。
相続時に印鑑証明書が必要となるケースはどんな時?
相続の手続きを行う場合は基本的に印鑑証明書が必要となりますが、具体的にはどんな時に必要となるのでしょうか?
以下の4つのケースで必要となります。
①遺産分割協議書を作成する場合
兄弟や身内など、相続する人同士でどのように遺産を相続するかをまとめた書類を「遺産分割協議書」といい、この協議書を作成する場合には相続する人全員の印鑑証明書が必要となります。
ただし被相続人が遺言書を残していた場合や相続人が一人しかおらずすべての遺産を受け継ぐ場合は遺産分割協議書を作成する必要がないため、印鑑証明書は不要となります。
②不動産の名義を変更する場合
不動産の所有者名義を替える「相続登記」をおこなう場合は、原則として印鑑証明書が必要となります。
不動産を引き継ぐ相続人以外にも、相続人全員分の印鑑証明書が必要となります。
ただしこの場合も、遺言書がある場合や相続人が一人しかいない場合は不要です。
③金融機関や証券会社で手続きを行う場合
亡くなった方が所有していた金融機関などの預貯金を払い戻しする場合にも、印鑑証明書が必要です。
以下の状況により、印鑑証明書が必要な人が異なります。
●遺産分割協議書がある場合 … 相続する全員分
●相続人が1人の場合 … 預貯金を相続する人のみ
●遺言がある場合 … 預貯金を相続する本人またはそれぞれの人
●家庭裁判所による調停調書、審判書がある場合 … 預貯金を相続する人
④相続税の申告をおこなう場合
相続税の申告が必要だと判断された場合、印鑑証明書が必要となります。
①と同様、遺言書がある場合や相続する人が一人の場合は不要です。