不動産を相続する際、遺言書がある場合、基本的に遺言書に沿って相続されます。
その重要となる遺言を作成する時間をあまりとることができない、手続きができないという場合は、特別方式の遺言が適用となります。
ここでは、不動産相続時に重要となる「特別方式遺言」とはどのようなものか、その種類について、ご紹介します。
不動産を相続する際に重要となる「特別方式遺言」とは?
「特別方式遺言」とは、一般的な遺言を作成することができない場合に作成する遺言です。
一般的な遺言は「普通方式遺言」と呼び、有効期限がありません。
しかし、特殊な状況で作成した「特別方式遺言」は、遺言者が「普通方式遺言」をのこすことができる状態になってから6か月生存していた場合は、「特別方式遺言」は無効となります。
不動産を相続する際に重要となる「特別方式遺言」の種類
一般危急時遺言(一般臨終遺言、死亡危急者遺言)
遺言者が病気や事故などで生命の危機が迫っている(危急)状態の場合に作成する遺言です。
●3人以上の証人の立会いが必要です。
※証人は、利害関係者以外の方のみのため、推定相続人はなることができないので注意してください。
●証人のうちの1人に遺言の内容を口頭で伝え、その内容を書き記します。
※口頭で伝えることができない場合、通訳人の通訳でも問題ありません。
●遺言者および他の証人に、読み聞かせて、筆記の内容を確認します。
●それぞれの証人が署名と捺印をします。
●遺言作成の日から20日以内に、証人の1人または利害関係者により、家庭裁判所に請求し、遺言の確認を得なければいけません。
難船危急時遺言(船舶遭難者遺言)
船や飛行機などを利用している際に、遭難して生命の危機が迫っている状態の場合に作成する遺言です。
「一般危急時」より緊急性が高いため、証人が2人以上となります。
また、家庭裁判所の確認の期限はありません。
在船者遺言
航海などの船舶中に、病気や事故などで生命の危機が迫っている状態の場合に作成する遺言です。
船長または事務員1人および証人として、2人以上の立会いが必要です。
家庭裁判所の確認は必要ありません。
伝染病隔離者遺言(一般隔絶地遺言)
伝染病などで生命の危機が迫っている状態で、かつ行政処分により交通を断たれた場所にいる場合に作成する遺言です。
警察官1人および証人1人以上の立会いが必要です。
家庭裁判所の確認は必要ありません。